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建設業許可
建設業許可とは
建設業を営む場合には公共事業・民間事業を問わず建設業法に基づく建設業許可が必要です。
建設業とは、建設工事の完成を請け負う営業を言います。
新たに建設業を営もうとする者は、その営業を開始する前に許可を受ける必要があり、許可を受けずに建設工事の請負営業のを行うことは無許可営業となり罰せられることになります。
このように建設業を営むには、許可が必要とされるのですが、「軽微な建設工事」のみを請負って営業する場合は必ずしも建設業許可を受けなくてもよいこととされています。
軽微な建設工事のみを請け負う場合は建設業許可の取得は不要ですが、お客様への信用、信頼につながるという点から取得される業者様も沢山いらっしゃいます。
ここでいう「軽微な建設工事」とは、工事一件の請負代金の額が建築一式工事以外の工事は500万円未満の工事、建築一式工事は1500万円未満又は延べ面積が150㎡未満の木造住宅の工事をいいます。
なお、平成12年5月31日に「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(建設リサイクル法)が制定・公布され、従来、建設業の許可が不要であった「軽微な建設工事」のみを請負う者も、解体工事を請負う場合には、解体工事業の登録を受けなければならなくなりましたのでご注意ください。(平成14年5月30日から本格的
に施行されました。)
建設業許可取得のメリット
建設業許可を取得することで、どういったメリットがあるのか、具体的な利点部分を4つご紹介いたします。
メリット1:1件あたり500万円以上の工事ができる
1件あたり500万円以上の工事ができるようになります。
※ 建築一式工事の場合には1500万円以上または延べ面積150㎡以上の木造住宅工事
メリット2:仕事量の増加の可能性がある
近年、発注条件として建設業許可の取得を挙げる業者が増えつつあり、建設業許可を有していれば仕事量の増加の可能性があります。
メリット3:信用、信頼につながる
取引先や銀行からの信用、信頼につながります。
メリット4:融資が受けやすくなる
建設業許可業者では、融資が受けやすくなる可能性があります。銀行によっては建設業許可が融資条件になっている場合もあります。
許可行政庁
建設業を営もうとする者が1つの都道府県にのみ営業所(複数の場合も含む)を設ける場合には、当該都道府県知事の許可が必要です。また、2つ以上の都道府県に営業所を設ける場合には、国土交通大臣の許可が必要です。知事許可、国土交通大臣許可どちらの許可を受けた場合でも許可業者は、営業所の所在地に関わりなく日本全国どこでも建設工事を行うことができます。
- 大阪府大阪市内に営業所がある場合→大阪府知事許可(都道府県知事許可)
- 大阪府大阪市内及び東大阪市内等、同一府県内に複数営業所がある場合→大阪府知事許可(都道府県知事許可)
- 大阪府大阪市内及び兵庫県神戸市内等、複数府県に複数営業所がある場合→国土交通大臣許可
※ 建設業の営業所とは、本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約の見積り、入札、契約の締結を行う事務所など、建設工事に係る営業に実質的に関与するものをいいます。したがって、建設業には全く無関係な支店、営業所及び単に登記上の本店や、建設業に関係があっても特定の目的のために臨時に置かれる工事事務所、作業所は該当しません。
つまり大阪府大阪市と兵庫県神戸市にそれぞれ営業所がある場合でも、「建設業を営む営業所」が「大阪府大阪市の営業所」のみの場合(兵庫県神戸市の営業所では他業種を行う場合等)は「大阪府知事許可」となります。
建設業許可の種類
国土交通大臣または都道府県知事は、建設業の種類すなわち業種別に許可を行います。建設工事には、下記のとおり29の種類があり、それぞれの工事の種類が建設業許可における業種に対応しています。建設業許可は、営業する業種ごとに取得する必要があります。また、同時に2つ以上の業種の許可を受けることができ、現有の許可業種に業種をいくつでも追加できます。
建設工事の種類 | |
---|---|
土木一式工事 建築一式工事 大工工事 左官工事 とび・土工・コンクリート工事 石工事 屋根工事 電気工事 管工事 タイル・れんが・ブロック工事 鋼構造物工事 鉄筋工事 舗装工事 しゅんせつ工事 板金工事業 | ガラス工事 塗装工事 防水工事 内装仕上工事 機械器具設置工事 熱絶縁工事 電気通信工事 造園工事 さく井工事 建具工事 水道施設工事 消防施設工事 清掃施設工事 解体工事 |
建設業許可の区分
国土交通大臣または都道府県知事は、29の業種ごとに特定建設業と一般建設業の2種類の許可を行います。
「特定建設業の許可を受けていない者」(一般建設業許可を受けた者含む)は、建設工事の最初の注文者(発注
者)から直接請負った1件の建設工事について、下請代金の額が4,500万以上(建築一式工事については7,000万以上)となる下請契約を締結して下請負人に施工させることはできません。
特定建設業の許可を受けた者は下請負人保護のため特別な義務が課されますが、同一の建設業について特定建設業者と一般建設業者との間において、その営業の範囲について法律上特別の差違はありません。
したがって、建設工事に発注者から直接請負う請負金額については、一般建設業者であっても特定建設業者であっても制限はなく、一般建設業者であっても、工事を直営施工するか、あるいは1件の建設工事について4,500万円未満(建築一式工事については7,000万円未満)の工事を下請施工させる限り、受注金額に制限はありません。
許可の期限
建設業許可は5年間有効です。5年毎に更新が必要です。引き続いて建設業を営む場合は、更新の申請手続が必要となってきます。 更新手続は、許可期限の30日前までにしなければなりません。
建設業許可基準
許可を受けるには次の基準を満たす必要があります。
- 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者として、国土交通省令で定める基準に
適合する者であること
①常勤役員等(経営業務の管理責任者)=建設業法施行規則第7条第一項イまたは、常勤役員等及び当該
常勤役員等を直接に補佐する者=建設業法施行規則第7条第一項ロがいること
(要件により該当するかどうかの判断が難しいので、ご相談ください。)
②適切な社会保険に加入していること - 各営業所に「専任の技術者」がいること(資格・実務経験等を有する技術者の配置)
- 財産的基礎または金銭的信用を有すること(財産的要件)
- 欠格要件に該当しないこと
- 建設業の営業を営む事務所を有すること
- 誠実性を有すること
一般建設業と特定建設業の許可基準の詳細は下記のとおりです。
一般建設業の許可基準
以下の許可要件を全て満たしていれば許可の取得ができます。
ただ、その許可要件を満たしていることを確認する資料も必要となります。
確認資料や記載方法も各都道府県により多少相違があります。又、各都道府県によって添付書類、あるいは現地確認等審査についても統一されていませんので詳しくはご相談ください。
1.建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者として、国土交通省令で定
める基準に適合する者であること
①常勤役員等(経営業務の管理責任者)=建設業法施行規則第7条第一項イまたは、常勤役員等及
び当該常勤役員等を直接に補佐する者=建設業法施行規則第7条第一項ロがいること
(要件により該当するかどうかの判断が難しいので、ご相談ください。)
②適切な社会保険に加入していること
現在建設業の許可申請時に(新規申請及び更新申請共に)社会保険加入状況を報告しなければなり
ません。適切な社会保険に加入していないと許可になりません。
許可を受けようとする者が法人である場合には常勤の役員のうちの1人が、個人である場合には、本人または支配人のうちの1人が次のイ、ロまたはハのいずれかに該当することが必要です。
イ 常勤役員等のうち一人が次の(a1)(a2)(a3)いずれかに該当する者であること
(a1)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(a2)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を
受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
(a3)建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐
する業務に従事した経験を有する者
ロ 常勤役員等のうち一人が次の(b1)(b2)いずれかに該当する者であって、かつ、当該常勤役員等を直接
に補佐する者として次の(c1)(c2)(c3)をそれぞれ置く者であること。
【 常勤役員等 】
(b1)建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の
地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有す
る者
(b2)5年以上役員等としての経験を有し、かつ建設業に関し2年以上役員等としての経験を有する者
【 常勤役員等を直接に補佐する者 】
(c1)(c2)(c3)における業務経験については、許可を受けている建設業者にあっては当該建設業者、許可
を受けようとする建設業を営む者にあっては当該建設業を営む者における5年以上の建設業の業務経験に限
る。
(c1)許可の申請を行う建設業者において5年以上の財務管理の業務経験を有する者
(c2)許可の申請を行う建設業者において5年以上の労務管理の業務経験を有する者
(c3)許可の申請を行う建設業者において5年以上の業務運営の業務経験を有する者
ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げるものと同等以上の経営体制を有すると認定したもの。
「役員」とは、業務を執行する社員(※イ)、取締役(※ロ)、執行役(※ハ)又はこれに順ずる者(※二)をいいます。
イ | 業務を執行する社員とは、持分会社の業務を執行する社員をいい、具体的には合同会社の有限責任社員、合資会社及び合名会社の無限責任社員をいいます。 |
ロ | 取締役は、株式会社(特例有限会社を含む)の取締役をいいます。 |
ハ | 執行役は、指名委員会等設置会社の執行役をいいます。 |
二 | これに準ずる者とは、法人格のある各種組合等の理事をいい、執行役員、監査役、会計参与、監事及び事務局長等は原則として含まないが、業務を執行する社員、取締役又は執行役に準ずる地位にあって、建設業の経営業務の執行に関し、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限を受けた執行役員等については、含まれるものとします。 |
2.各営業所の「専任の技術者」の確保
許可に係る工事に関して高等学校の所定の学科を卒業してから5年以上、大学の所定学科を卒業してから3年以上(法第7条第2号のイ)、又は10年以上の実務経験を有するもの(法第7条第2号のロ)か国土交通大臣が前事項に掲げるものと同等以上の知識、技術及び能力を有すると認定した者(法第7条第2号のハ)が申請者に専任かつ常勤で勤務していることをいいます。 (詳しくはご相談ください)
平成11年10月1日の改正により、一部業種については実務経験の要件が緩和されています。
令和5年7月1日より「一般建設業許可の営業所専任技術者の要件の緩和」が行われています。
3.請負契約を履行するに足る財産的基礎または金銭的信用
次の何れかに該当することが必要です。
イ | 直前の決算において、自己資本の額が500万円以上であること |
ロ | 金融機関の預金残高証明書(残高日が申請日前4週間以内のもの)で、500万円以上の資金調達能力を証明できること |
ハ | 許可申請直前の過去5年間、許可を受け継続して営業した実績があること |
4.欠格事由に該当しないこと
欠格要件(欠格事由)に該当しないこと。許可取得後に該当してしまった場合には、許可の取消処分を受
けることになります。
主な欠格事由は次のようなものです。(詳しくは、建設業法第8条、15条をご参照ください。)
- 許可申請書又は添付書類中に、重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき
- 法人であっては法人の役員、個人にあってはその本人・支配人、その他支店長・営業所長等が次のような要件に該当しているとき
イ | 成年被後見人、被保佐人又は破産者で復権を得ない者 |
ロ | 不正手段で許可を受けたこと、又は営業停止処分に違反したこと等によりその許可を取り消されて5年を経過しない者 |
ハ | 許可の取り消し処分を免れる為に廃業の届出を行い、その届出日から5年を経過しない者 |
二 | 建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、あるいは、及ぼすおそれが大であるとき、又は請負契約に関し不誠実な行為をした事等により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者 |
ホ | 禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行を終え、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 |
ヘ | 建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、もしくは暴力団員による不当な行為の防止に関する法律の規定に違反し、刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 |
ト | 暴力団員がその事業活動を支配する者 |
5.単独の事務所を有すること
申請者が所有または賃貸することにより、建設業を行う事務所を有していなければなりません。
他の会社と同一敷地内または同一フロア内に事務所を構える場合、場所が明確に区分されている必要があります。 自宅等を事務所にする場合、居住スペースと事務所が明確に区別されている必要があります。
6.誠実性を有すること
申請者及びその役員ならびに政令で定められた使用人が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかでないことをいいます。
不正行為とは請負契約の履行について詐欺、脅迫、横領、文書偽造等の法律違反の行為を指し、不誠実な行為とは工事の内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担等について請負契約に違反する行為をいいます。
特定建設業の許可基準
特定建設業は、一般建設業許可要件のうち、(2)専任技術者、(3)財産的基礎についてより一層厳しく規制されています。
1.建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者として、国土交通省令で定
める基準に適合する者であること
4.欠格事由に該当しないこと
5.単独の事務所を有すること
6.誠実性を有すること
1、4~6の要件は、一般建設業の許可要件と同じです。
2. 各営業所の「専任の技術者」の確保
「一般建設業の専任の技術者」の要件を満たして、かつ次のいずれかに該当する必要があります。
イ | 許可を受けようとする建設業について国土交通大臣の認めた技術認定、資格試験等に合格した者(法第15条第2号のイ) |
ロ | 一般建設業の技術者に該当する者のうち、発注者から直接請負った工事の請負金額が4,500万円以上の工事に関して2年以上の指導監督的な実務経験がある者(法第15条第2号のロ) |
ハ | 国土交通大臣が前項(イ)又は(ロ)の者と同等以上の能力を有すると認定した者 (法第15条第2号のハ) |
<指定建設業の技術者要件>
指定建設業では、専任の技術者にさらに高い能力が要求されます。現在、指定建設業には、土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業の7業種が指定されており、専任技術者は上記(イ)か(ハ)のどちらかに該当する必要があります。
4. 請負契約を履行するに足る財産的基礎または金銭的信用
直前決算において次の全てに該当することが必要です。
イ | 欠損の額が、資本金の額の20%を超えていないこと |
ロ | 流動比率が75%以上であること |
ハ | 資本金の額が2,000万円以上であり、かつ自己資本の額が4,000万円以上であること |
許可手数料
大臣許可を申請するときは登録免許税を納入する必要があります。
登録免許税は許可申請を行う各地方整備局を管轄する税務署に直接払込む方法と日本銀行、日本銀行歳入代理店、又は郵便局を通じて納入し、その領収書を許可申請書の別表に貼付する方法の2通りがあります。
都道府県知事許可を申請するときは各都道府県知事の収入証紙を貼付するなどします。
(大阪府の場合は、大阪府庁咲洲庁舎(さきしまコスモタワー)1階の銀行窓口で、
大阪府手数料(POS)納付用連絡票を用いて払い込みます。)
国土交通大臣の許可
新規の許可 ・・・15万円
更新及び同一許可区分内での業種追加の許可 ・・・5万円
都道府県知事の許可
新規の許可 ・・・9万円
更新及び同一許可区分内での業種追加の許可 ・・・5万円
※当事務所の報酬額ではありません。